ITS 11 ブログ

ドライビングレコーダー、がんばる!

岩貞るみこ

私はコンピュータが苦手です。「苦手」と公言すると、厳しい先輩から「だったら勉強しろ!」と言われちゃうのですが、だってしなくても生きていけるのであれば、ほかのことに時間と労力を使いたいと思ったりするわけです。すいません、センパイ。ゆえに興味がありつつも、なかなか取り入れることのできなかったもののひとつに『ドライブレコーダー』があります。装着して、録画して、コンピュータで再生して……って、そんな高度な技術が私にできるわけが! と、諦めていたら、あらま、いまはすっごく簡単だったんですね

私の目からウロコを落としたのは、T大学K先生ご推薦の、ホリバアイテックの『どら猫2』です。

本体は、コンピュータのマウスほどの大きさ。これをフロントウィンドーに両面テープで貼り付け、シガライターから電源をとるだけ。これだけ。えっ、これだけ?びっくりしましたよ。このマウスみたいなものに差し込んだCFカードを、コンピュータでちょこちょこっとすると、あらあら、再生していく。なぬお? ってなくらい簡単でありました。

ある一定のショックがかかると、録画を開始するので、急ブレーキ踏んだだけでも録画することがあります(トリガーの強度は変更可能)。スムーズな運転の強制効果もありそうな感じです。なにより、安心感が違います。もしここで反対車線からバイクが突っ込んできても、証人がいると思うと、すごく安心して走れます。逆に『どら猫2』を装着しないレンタカーや撮影車両を走らせるときは、命綱なしで綱渡りしているような、心細ささえ感じます。

このところ、飲酒事故や当て逃げなど、ドライブレコーダーの画像が参考になるケースが増えています。真実を知りたいと願う被害者やそのご家族にとっても、とても有効な手段と思われます。まだクリアすべき問題はたくさんあるのでしょうが、いまは少しでも多くの方にご協力いただき、たくさんの事例を集めて検証していくとき。私、別に事故待ちしているわけじゃないんですが、研究に協力するべく、日夜、『どら猫2』と走り回っております。

軽自動車の安全性

清水和夫

一般的に軽自動車は「ぶつかると危険」という印象を我々は持っている。様々な自動車が走る混在交通の中では、軽自動車はもっとも小さく実際の事故では不利かもしれない。自分よりも大きな自動車とぶつかると、被害は大きい。というのは自動車同士の衝突では大きな自動車から小さな自動車に衝突エネルギーが伝えられるからだ。これは物理の基本なのでどうしようもない。そのために実際の事故では重量やボディの硬さや形状の違いによって、お互いにシートベルトをしていても乗員の被害は公平にはならない。

90年代に情報公開と安全基準が始まったものの、日本の国民車として長い間多くの人に親しまれてきた軽自動車が決定的に不利になることが明らかであった。サイズが規定されていたおかげで、エネルギーを十分吸収できず、キャビンの生存空間の確保が難しかった。これでは実際の事故で国民車が不公平になってしまう。そこで日本政府は1998年に軽自動車の規格を全面的に変更し、衝突安全性能を乗用車と同じレベルに向上させる努力をメーカーに促したのだ。それまで国内安全法規では軽自動車は衝突速度を低くすることで基準を満たしていたが、新規格では軽自動車のボディサイズを大きくすることで、乗用車と同じ土俵で勝負することができるようになった。

ところで90年代に登場した自動車安全情報公開(JNCAP)では、いったいどんなテストが行われているのか、簡単に説明してみよう。まず衝突時の乗員の安全性を評価するために三つの衝突形態をテストしている。前面衝突はフルラップ法とオフセット法。さらに側面衝突テストが行われている。この三つのテストはそれぞれ独自の意味を持っているので、バランス良く高得点を得ることが重要だ。
 
まずフルラップ前面衝突テストはどんなテストなのだろうか。実際のテストではコンクリートのバリアに正面から直角にぶつけている。例えば、机から飛び降りたとき、両足で着地した時の衝撃を計ることと同じ理屈だ。このフルラップ法は、一瞬にして衝突が終わるので、大きな衝撃が乗員に加わる。そのためシートベルトやエアバッグなどの拘束装置の性能を評価するのに適している。日本の法規は、アメリカと同じくこのフルラップ法が採用されているが、JNCAPでは速度を安全基準の50Km/hよりも10%高い速度の55Km/hでテストが行われている。

もう一つのオフセット前面衝突。コンクリートの前に変形可能(相手の車を見立てたもの)なバリアを起き、そこに運転席側から40%オフセットさせてぶつける手法だ。この手法は欧州の法規として採用されたもので、実際の自動車同士の事故を想定している。フルラップと比較すると衝撃は小さいものの、キャビンの変形が大きいので生存空間を評価するのに適している。速度は64Km/h。特に軽自動車は、キャビンが小さいのでぶつかった時の生存空間の確保が難しい。そのために軽自動車ユーザーは、このオフセットテストの結果を注意して見ることが重要だろう。

この二つの前面衝突テストは、同じ程度の重量と形状の自動車同士がぶつかった場合、テスト結果が有効となるが、重さの違う事故ではテスト結果は参考程度となる。ここに衝突実験の限界がある。同じ自動車とぶつかれば、という条件を考慮すると軽自動車の場合難しいだろう。多くの軽自動車は、自分よりも大きな自動車とぶつかるケースが多いからだ。それでは、JNCAPの結果が参考にならないのではないだろうか。

安全はただではない

清水和夫

エキスポランドで起きたジェットコースターの悲惨な事故。あるいは記憶から薄れようとしているエレベーター事故。現代社会には様々なリスクが存在するが、悲惨な事故が起きるたびに被害者も関係者も「二度とこのようなことが起きないように、、、」とコメントする。しかし、我々はこうした事故からいったい何を学んでいるのだろうかと疑問を感じることがある。自動車はどうか。

戦後、日本は自動車の普及とともに自動車事故が急増し、70年代初めには年間死者数が16000人を超えたことがあった。その後10年の間で、年間死者数を約8千人まで減少することができた。このとき事故発生件数と死傷者数ともに減少していたので「70年代の奇跡」と言われている。80年代以降再び事故は増え始めた。経済が豊かになり、自動車が便利な乗り物になるほど事故は増えていった。90年代に入ると年間の死者数がついに12000人に増え、交通事故が再びクローズアップされるようになった。そこで政府は90年代に衝突安全法を制定し、同時に安全情報を公開するようになった。いわゆる独立行政法人自動車事故対策機構が行うJNCAPは、ユーザーに安全情報を提供することと、メーカーに正しい方向に安全技術を促進させることが大きな目的となっていた。

この事業のおかげで、近年の日本車は飛躍的に安全性(衝突時の乗員保護性能)が向上したことは間違いない。こうした技術は海外でも高く評価され、日本車の競争力を高めている。「どんなに安全な技術を開発しても、どの努力も報われないと続かない」当時の安全担当エンジニアは述べている。したがって安全基準と情報公開は一対となって効果を現すわけだ。実はこうした取り組みはアメリカの制度から学んだものであった。
一方、事故から真実を学ぶためにミクロ・マクロ的な事故分析も必要だ。国内では(財)交通事故総合分析センターを開設し本格的な分析が始まった。こうした取り組みのおかげで、メーカーとユーザーの意識は変わり「より安全な自動車」を求める声が高まっていった。「安全はただではない」と認知されたのだ。

飛行機とのCO2排出比較

長沼要

先日行われたハイリゲンダムサミットで、EU,カナダ、日本が提案した「2050年CO2半減」を検討することに合意を得るなど、世界的にCO2排出量削減にむけた動きが活発化している。クルマ(乗用車)から排出されるCO2排出量について欧州では2012年には平均130g/kmにするという動きがあるが、他の乗りものはいったいどのくらいなのだろうか?ものすごいエネルギーを使ってそうな飛行機と比較してみよう。

ANAの環境レポートには航空燃料によるCO2排出量の抑制という項目で、1990年からの推移が示されている。それによると、最新(2005年)のデータで約90g/kmだ。つまり達成不可能とまでいわれるくらいに厳しいクルマの目標値である130g/kmよりもすでに2割以上も良いことになる。おそらく現時点のクルマは平均で200g/km弱だろうから、クルマの約半分くらいになる。

ちまたではよくこういう比較がされて、クルマは一番CO2排出が多い!と叩かれる。それらの意見に反論する意図はないが、少なくとも計算背景を知った上で数字の比較がなされ、あらゆる意見が出る事を期待して少々算出背景をみていこう。

先のANAのデータにある標記そのものは約24g-C/ASKだが、これに44/12(=CO2の分子量/Cの分子量)を掛けて約90g/ASKとした。そして対象はANA全路線、全飛行機とある。つまり、747も767も、国内線も国際線もゼーンブの平均値。ある意味モードは実モードだから精度は高い。なお、ANAは2008年から燃費のよい ボーイング787型機を世界初導入するなど、環境対応へ積極的な会社なので、この数値は航空業界のなかでトップクラスと考えてよいだろう。(ちなみにJALは同様なデータの単位にg/ATKを使っていたので換算が困難であったのでノーコメント。「ATK=Available Ton Kilometers /有効トンキロ。供給輸送量の指標の一つで各飛行区間の有効重量にその区間の距離を乗じたものの合計。」)

ここで注目して欲しいのは「ASK」。「ASK=Available Seat Kilometers /航空会社の販売可能な座席数に飛行距離を乗じたもの」と注がある。つまり、ほぼ定員でフライトした際の仮定と理解していいだろう。つまり分かり易く単位を替えると約90g/ASK=約90g/km/人となる。

さて、クルマの場合。例の130g/kmという目標値。これは欧州での規制なので欧州での燃費/排ガス測定モードだ。日本の10.15モードより高速主体の測定モードである。クルマの場合、一般ユーザーがどれだけ走行しているかというデータを正確に測定するのはほぼ不可能だから先の飛行機のような実測定を行うのは不可能だ。

そして、次に乗車人数。クルマの場合、人数に対する考え方は入っていない。測定モードの規定で重量計算のために人数が規定されているが、その規定人数で割る事はしていない。130g/kmという数値はあえて単位を正確に示すと130g/km/台、となる。つまり、一人で乗ると、130g/km/人。二人で乗ると、65g/km/人。4人で乗ると、32.5g/km/人となる。厳密には乗車定員によって、多少燃費が変わるのでその分変化があるが、誤差の範囲と仮定する。

もう分かって頂けたと思うが、将来の目標値ではなく現状の仮定(200g/km)でもクルマは定員乗車によっては必ずしも飛行機より悪いということにはならない。

以上は私なりの前提、仮定のもとでの検討だが、ここでクルマがいい、飛行機がいい、などと比較することはしない。クルマにはクルマの、飛行機には飛行機のモビリティの価値があり、その価値を計算に入れていない評価指標で比較をする事自体が意味がない(限定的)と考える。その価値はスピードかもしれないし、快適性、かもしれないし、その他、いろいろあるだろう。

ある比較をする場合にはその比較結果よりも、前提、仮定を注意深くみると面白い。たいていそこから意図が読み取れたりする。

遼くん、真央ちゃん、さかなクン。

岩貞るみこ

「若い人たちがクルマに興味がなくなった」。

クルマ業界の人たちと話をしていると、必ず出てくるセリフです。確かに、20年前、30年前に比べると、コンピュータに携帯電話にカフェに海外旅行、洋服にエステ、お金をかけなくちゃいけないことはたくさんあって、なにもクルマに乗らなくても、と思うのは、当然の気がしてきます。

ただ、自分のことを棚にあげて、扉を閉めて、しっかり鍵までかけて言わせていただくと、クルマ業界にはあまりにも高齢化が目立ちます。10年ぶりに広報部にもどってきた某自動車会社の方いわく「ジャーナリストの顔ぶれが変わっていませんね~」。はい、そうなのです。なんたって40代のジャーナリストが「若手」と言われてしまう業界です。これってヘンじゃないですか?

いまやファッション誌、ライフスタイル誌を開けば、そこに登場しているのは、読者と同世代のモデル、ヘアメイク、クリエーターたち。編集長も20代、30代がほとんどです。彼らの感性で作られる雑誌に対し、自動車専門誌を開くと……ここからは詳しいコメントを差し控えますが、まあ、自分のお父さんより年上の人に「ほら、楽しいでしょ」と言われても、ピンとこないのは仕方ないような気がします。

男子ゴルフ界の新星、石川遼クン、15歳。フィギュアスケート界のプリンセス、浅田真央ちゃん、15歳。あの地味で有名な魚業界を、一躍、光り輝かせた『さかなクン』は30歳を越えているものの、彼の精神年齢と立ち居振る舞いは、やはり15歳の初々しさがあります。若い世代(って言っちゃうこと自体が、すごくおばさん臭いけれど)が興味を持つためには、彼らの同世代のヒーローが必要だと思うんですけれど。おじさん&おばさんの価値観を押し付けて、ほかにもある魅力的な「楽しいこと」と戦うのは、むずかしいのではないかと思います。

ITS先進国を目指すスウェーデン

清水和夫

スウェーデンのボルボ・カーズ社は子供の安全を願って世界からジャーナリストを集めて安全セミナーを開催した。スウェーデンでは行政と自動車メーカーが一体となって安全対策に取り組み「ヴィジョン・ゼロ」へ向けた様々な政策が打ち出されている。今回はセミナーを通じて、ボルボの安全技術の基本であるシートベルトに関するレポートをお送りしよう。

ボルボの自動車安全は1959年に世界で初めて三点式シートベルトを考案したところから出発している。ここにボルボの安全哲学の原点があるわけだが、現在はイエテボリにある安全センターで先進的な技術を研究開発している。ボルボの安全技術は、すべて実際の事故から学んでいると言われている。その意味では事故調査が何よりも重要となっている。
今回子供の交通事故にフォーカスした理由は、急速に自動車が普及している開発途上国の子供の一位の死因が自動車事故であるという国連の報告を受けたものだ。昔から子供の安全にこだわってきたボルボにとって、彼らの知見を世界に広めることが重要だと考えたのであろう。子供のベルトはチャイルドシートが受け持つが、成長過程にある子供を守ることは大人以上に苦労するとボルボは述べている。

さて、後席のシートベルトの重要性について話してくれたのはボルボ・カーズの安全担当スペシャリスト、トーマス・ブロベルグさんだ。ボルボはずいぶん前から後席のリスクを指摘してきた。後席は前席よりも安全という妄想があるが、実際の事故を観察すると、後席の乗員が前席の乗員へ加害するケースも少なくないということが明らかになっている。さらにベルトを装着していない後席の乗員は前席と同様のリスクがあると指摘している。「後席だから安全」というのは妄想だとブロベルグさんは言い切る。

そこでクルマを設計する時から、前席と後席で安全性に差がないように工夫している。どの位置に座る乗員にも公平に安全性を与えることが重要だと考えているからだ。従ってボルボのクルマには前席と後席にもプリテンショナーベルトを装備している。実際、スウェーデンのドライバーは後席の乗員がベルトを装着しないといやがるそうだ。その理由は事故が起きると、後席から加害されることを知っているからである。「後ろの人はベルトをしないと自分が危険」という認識が定着している。

実際の事故調査で明らかになった事例が国内でもあった。高速道路で起きた追突事故。クルマの前端部は大きく破壊し大きな衝撃が加わったことを物語っている。このクルマには前席に二人、後席に一人乗っていたが、ベルトを装着していたのは前席の乗員だけであった。怪我の状態を調べると、ドライバーは外傷がないが、助手席の人は頚椎挫傷と肩を打撲していた。前席には二つのエアバッグが正しく展開していたので、助手席の乗員のほうが、本来なら障害が小さいはずであったが、現実は異なっていた。実は助手席に後席の乗員が衝突の勢いでぶつかったことがあきらかになったのである。しかもベルトをしていなかった後席の乗員は腰椎を圧迫骨折していたのである。

このように例外なく後席のシートベルトは有効であり、ベルトを装着しないことで前席への加害性が生まれるという問題も持っている。後ろの人がベルトをしないなら、クルマから降りてもらうくらいの勇気をドライバーは持つことが重要だろう。

ETCの進化とこれから

清水和夫

ETC(Electronic Toll Collection System)

「たとえ屋根から雨漏りするクルマであっても、ETCさえついていれば」と思うようになった。というのは、最近登場した自動車技術の中でETCほど便利なモノはないからだ。もちろんクルマを使う人のライフスタイルによっては便利度が異なるわけだが、私はETCがないと乗りたくない、と思っている。

私の場合、仕事柄よく通う箱根方面は有料道路の関所が数多く乱立し、ETCがないと気が滅入る。朝、池尻ICから首都高速3号線を下り、東名厚木ICから小田原厚木有料道路を経由し箱根口で降り、そのまま箱根新道を経由して芦ノ湖スカイラインまで行くとしよう。はたして何カ所の料金所を通過するのだろうか。答えはなんと6ヶ所の料金所で止まることになる。車内は領収書で溢れ、その都度料金を支払うことがどれほどおっくうな行為であったのか。しかしETCは、そんな不敏から解放させてくれた。

平成19年4月19日現在、全国でETCの車載台数は約1713万台、そのうち実際に利用しているのは67.7%。首都高速に限って言えば75.3%と高い利用率となっている。カーナビVICSと同じように、短時間で普及したETCは高速道路利用を便利にしただけではなく、実は料金所の渋滞を緩和している。この二つの効果は、モビリティの移動時間を短縮し、自動車本来の価値を高めているのだ。

 それではこれから、どのようにETCが進化するのだろうか。道路管理者側の立場では、距離に応じたきめ細かい料金設定が可能。料金一律の首都高速ではETCの普及率が高まることを待って、距離に応じた料金制度に変えようと考えている。都心を横断する長距離トラックは、首都高速の端から端まで1400円で利用していたが、この料金が一気に二倍になるかもしれない。さらに、2012年頃までに完成する圏央道環状線のおかげで、都心に流入するトラックやバスが姿を消すかもしれないのだ。こうして都市部の環境汚染や渋滞・事故が減少することが期待できる。

もう一つの進化の方向は、国土交通省が今年10月から「スマートウェイの試行運用」を始める。ここで使われるのがDSRCと呼ばれる狭域通信帯の電波を道路側から発射し、渋滞などの画像情報をカーナビの画面に映し出す。文字情報から動画情報へ、まさにイビキタス社会が到来する。ここで使われるのは「次世代車載器(ITS車載器)」だ。この車載器は料金自動課金だけではなく、道路情報のギブ&テイクを可能としている。さらに駐車場やガソリンスタンド、ファーストフードでの注文や支払いなど、さまざまなサービスが可能となるようだ。つまり、いままでのETCはDSRCの機能の一部しか利用していなかったのである。

今後、ETC(有料道路料金自動車課金)はITS車載器の一部の機能となるわけだ。そして自動車ユーザーに、ITS車載器を使ったどんなサービスが可能なのか、多くの関係者を交えて議論されている。こうした実証実験はすでに行われているが、実際の利用者の声は好意的だ。「キャッシュレスの便利さを体感できた」、「駐車場の支払いは便利」、「無線通信によって、決済するので速く便利」などの評価が寄せられている。しかし、いままでのETC車載器が使えなくなることで批判が起きそうだ。高速大容量通信とセキュリティの確保など、車載器をもっと進化させる必要がある。つまり、今までのETC車載器を拡張することができないので、新しいITS車載器を買う必要があるわけだ。すでに普及した1700万台ものETC車載器が、やがて使えなくなる点に関係者は頭を悩ます。
課題は少なくないが、ITS車載器へ進化することで、自動車の利用がますます便利になることは歓迎できることだ。

自動車メーカーは本当に日本でクルマを売りたいと思っているのか? その4

岩貞るみこ

なんだか、ヘンだそ、日本のディーラー? もしかして、クルマにうとい女性ユーザーは、ディーラーにカモにされているのではないのか? 私の疑問はふつふつと沸くばかりです。そしてそれを証明するような事態が起こったのでした。

=実例3=
通勤中にもらい事故にあってしまった友人Y嬢。相手が全面的に悪くて、こちらの過失はゼロ。「過失ゼロの場合は、こちらの保険屋も出てきませんから、自分で相手と交渉してください」と、つめたーくディーラーに見積書をわたされました。相手はあいにく、無保険車。しかも、お金払わなさそうなおじさん。いったいどうやって修理代を払ってもらえるよう交渉したらいいのか、彼女は途方にくれるばかり。もう、ほんと、心細くて倒れそうな雰囲気ですよ。

Y嬢がはいっている任意保険の証書を見せてもらうと、あれ?「弁護士特約」&「もらい事故特約」がついている。しかもその保険の代理店はそのディーラー。ちょっと待て、ディーラー! あんた、自分で高い(内容が充実した)保険をすすめておいて、実際に事故にあったときには、知らん顔ってこと? それないんじゃないの? 私、キレましたですよ。そのディーラーに電話しちゃいましたよ。すると、ディーラーの人は言いました。保険加入のときに説明したから、本人が知っているはずだ、と。

あのさ、それってさ。
たとえば、アナタがスキューバダイビングを始めたとする。どのボンベがいいかわからなくて迷っていたら、プロの販売店の人が「これはタンクの酸素が切れたときに、サブタンクに切り替えるとさらに10分もつので、安心ですよ」と薦めてくれたので、ちょっと高かったけれど買う。海に入ったら、タンクの酸素が切れて苦しい思いをする。となりで泳いでいるプロの販売店の人は、なにもしてくれない。命からがら水のうえにあがったら、販売店の人に「サブタンク、使えばよかったのに。買うとき説明しましたよね?」と、言い捨てられる。おいっ! だったら苦しんでいるその場で言ってくれよ!
そう思いませんか? 今回の保険って、これといっしょなんじゃないですか?

日本の自動車ディーラーって、いったいどうなっているんでしょ。前回の見積もりにしても、今回の保険にしても「説明はしたはずだ」ばっかり。一方的に言って、本人が理解していなくても「説明責任は果たした」で終わらそうとする高額商品販売員って、どうよ、それ? なんか、めっちゃ腹が立つんですけれど。こんな状態で「日本でクルマが売れない」だの「若者のクルマ離れが進んでいる」だの言われても、当然の気がするんですけれど。クルマのディーラーになんか騙されている気がする。クルマに乗っていてもこんなんばっかりじゃ楽しくない。そんな風に思われて、クルマ離れをされても、仕方ないと思いませんか?

スマートウェイ社会実験の始まり

清水和夫

首都高速道路の見通しが悪いカーブの先で止まっている渋滞の最後尾に遭遇し、ヒヤッとしたことはないだろうか。こうした予期せぬ出来事に現代の自動車やドライバーはほとんどが無力なのである。もし、見えない先を知ることができれば、大幅に事故を未然に防ぐことができるのである。現在日本の交通事故の死者数は年々減少しているが、その一方で事故発生件数は昨年が100万件弱と信じられない数字が示されている。一日3000件の事故は起きていることになる。

いままで衝突安全が中心に安全対策が行われてきたが、これからは事故を予防する技術や対策が重要であると、多くの関係者が考えている。しかし、事故を未然に防ぐことは実際に難しい。無秩序に膨れあがった都市交通は人もクルマも自転車も同じところを走るケースもある。このような混在交通では事故を予防することは、ドライバーの安全意識だけに頼ることは困難かもしれない。どんなに気をつけて走っていても予期せぬ出来事は日常的に起きている。実際に日本の交通事故の原因を調べると、交通事故の75%が「発見」「判断」「操作」の遅れや誤りによるものとなっている。事故を予防する技術や制度に決定的なモノが存在するのだろうか。

今回取りあげるテーマはITSの本命の一つである「スマート・ウェイ・システム」の一つの機能であるAHS(走行支援システム)だ。この取り組みは国土交通省・道路局が中心となって進められてきており、一部の地域で実証実験が始まっている。同省は2005年3に首都高速新宿線の参宮橋付近で渋滞末尾情報をVICSの電波ビーコンを使ってドライバーに提供する実験を実施していた。この場所は追突事故が多発する場所として知られており、実証実験の場所としては都合がよかったのである。

首都高速新宿線「上り車線の参宮橋付近」は見通しが悪い場所なので、カーブより300m手前にあるVICSビーコンを使って実際の渋滞画像をカーナビに映し出す仕組みだ。渋滞に近づくクルマに、事前に情報を提供するものだ。こうした実証実験の効果は絶大で、同場所の追突事故がなんと80%近くも減少したのである。モニターを実際に使ったドライバーの評判も良好であったという。

こうした事故予防システムの効果は、投資金額と実際の経済効果として評価することができる。サービス導入前の17ヶ月は実際に44件の事故が起き、事故により3.2億円の経済損失が生じていた。ところが、サービス導入後の17ヶ月では事故が7割減少し、損失額の削減効果は約1.6億円となった。このシステムの投資額は約1億円なので、投資額を上回る効果が得られている。

このようなクルマなどのカーナビに渋滞などを実際の画像で知らせるITS実験が本格化しそうだ。参宮橋の実証実験の成功が引き金となり、今回はもっと大規模な実証実験が始まる。なにを隠そう、私もこの実験に参加し、愛車に新しいITS車載器を取り付ける段取りをしている。当面は安全運転支援に使われるが、今後は幅広い分野で情報のやり取りが可能となる。このように情報通信が本格的に自動車に使われるようになると、いままで独立して普及してきたVICSやETCなどが安全運転支援まで機能を拡大する。つまり新しいアプリケーションが搭載できるオープンなプラットフォームが必要になるわけだ。

いよいよITSの具体的な姿が見えてくる。安全で便利、しかも快適なモビリティ社会の実現が期待できる。

自動車メーカーは本当に日本でクルマを売りたいと思っているのか? その3

岩貞るみこ

モノを売る場合、重要なのは『商品力』だけれど、同時に『販売力』というのもかかわってきます。私なんかつられやすいタイプなので、威勢のいい魚屋のお兄ちゃんがいたら、つい、食べない魚まで買っちゃいます。逆に、嫌いな店員がいると欲しいものでも買いません(笑)。日本のディーラーのみなさんも、クルマを売るべく工夫はしているようですが、でもなんとかして欲しいのは『ガワ』じゃなくて本当は『中身』なんだと思うわけです。

自動車メーカーのみなさん。自分たちのクルマが、どういう状態で売られているのか、マジメに調査研究したことありますか? ディーラーに対する批判や要望は、それなりに本社にも上がってくるのでしょうが、それっていわゆる「クルマに詳しい人」たちのリクエスト。いま増殖中の「クルマに詳しくない人」の悲しい気持ち、いわゆるサイレントユーザーの声にならない声は葬り去られているのを知っていますか? そりゃもう現場では、ひどいことが行われているんですよ。

=実例1=
「意味不明な見積書」
 某ディーラーで、中古車を買おうとしたときのことです。そのディーラーが持っているクルマと、他県で持っているクルマを比較することになり、見積もりを出してもらうことになりました。ところがその2枚の見積書といったら、書き方ばらばら。ひとつは税金入り、ひとつは手数料入り、ひとつはなんとかがつけられていて、もう一方は別のことが書いてありと、書式もへったくれもありません。このふたつを見せられて、クルマにうとい人はどう比較しろっていうんでしょう? あまりにも不親切じゃないんでしょうか。

=実例2=
「ワケわからないオプションパーツ」
 某ディーラーで、新車を買おうとしたときのことです。「決算期なので、がんばりますよ!」と笑顔で値引きを約束してくれた販売員。出された見積もりを見て、なんでしょこれは? ワケのわからない「泥よけ」とか「風よけ」とか、絶対につけない、使わないオプションがもにょもにょついています。そしてその分の合計額3万数千円を「値引きしますよ!」と。おいおい、ちょっと待て。そんないらんもん着けられて、そのぶんまけますよ、と言われても。でも、これってきっと、クルマのこと知らない女性ユーザーだと、その気になっちゃうんだろうな。それともそれを見越した戦略なの?

以上ふたつは3ヶ月前、どちらもクルマにうとい私の友人に起こった事実です。どちらもクルマに詳しい男性なら「そんなこと~?」ってくらいのことかもしれません。でもね、女性ユーザーにしてみると、お給料何ヶ月分もかけて買う大切な一台。なのにそんないい加減な対応なんて、ほんと、悔しくて頼りなくて情けなくて、涙でそうなことなんですよ。そして先月、もっと愕然とする事態が起きたのでした!

次号に続く。

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